自衛官に生涯生活設計が強く推奨される理由
ある元自衛官が、現役自衛官に次の2つのことをアドバイスしています。
(1)国は退職後の自衛官の家計を守ってくれない
(2)自衛官は現役時代から資産形成や投資を考えたほうがよい
自衛官は国家公務員ですが、官僚のような超安定した国家公務員ではありません。それどころか、定年退職後の自衛官は、それまでの生活水準を維持することすら難しくなることもあります。
このアドバイスをした元自衛官は高山裕司氏といい、現在は不動産投資コンサルタントをしています。
高山氏は「自衛官の第2の人生は、一般の人より金銭的なリスクが大きい」と話しています。
高山氏は防衛大学卒業後、海上自衛隊に24年間在籍し、2017年に47歳で退職しました。退職後、それまでに取得していた宅地建物取引士の資格を活かし、不動産投資コンサルタントに転身しました。
そのため、高山氏からの現役自衛官へのアドバイスは、とてもリアルなものといえます。
高山氏が現役自衛官に資産形成や投資をすすめるのは、もちろん「後輩」のことを心配しているからですが、それだけではありません。
高山氏によると、自衛官は、資産やお金のことに疎い人が多いといいます。
まず自衛官は、自分たちの組織の収益を気にしません。そして、ほとんど外部との接触を断っているので経済情報が入ってきません。そもそもお金に触れる機会が著しく少ない自衛官が、お金に疎くなるのは当然かもしれません。
しかも、同僚や先輩や後輩の自衛官も同じように「お金に疎い」ので、お金に関する危機感が芽生えにくい環境にあります
まだあります。
これが最も深刻かもしれませんが、高山氏は、自衛官の収入が、一般企業の社員より不利になることがある、と指摘しています。
しかし、国家公務員の給料が本当に一般企業より不利になるのでしょうか。
もちろん、自衛官の給料が「安い」わけではありません。しかし自衛官の責務の重さや任務のハードさを考えると「高い」ともいえません。
高山氏は次のような試算をしています。
自衛官も企業の会社員も、現役時代の終盤の年収が1,000万円だと仮定します。
多くの自衛官は55歳で定年を迎えます。しかし会社員は60歳まで現役で働きます。
すると両者の生涯年収は、単純計算で5,000万円(=(60歳-55歳)×年収1,000万円)の差が出ます。
もちろん、55歳で定年した自衛官は再就職先を探すので、すべてのケースで必ず5,000万円差が生じるわけではありません。
しかしこの単純な計算だけでも、自衛官が「自分たちは国家公務員だから定年退職後も老後も安泰だ」と考えることが、楽観的すぎることがわかります。
一方で、世間の多くの個人マネーは今、「貯蓄から投資へ」と確実に動いています。一般の会社員は、積極的に投資をして着実に資産形成をしています。
会社員の危機感と比べると、自衛官の将来見通しは甘すぎると、高山氏は警鐘を鳴らしています。
現役自衛官に投資をすすめる高山氏が、投資のなかでも不動産投資をすすめるのはなぜでしょうか。
世間では為替の動きを読んで投資するFXや株式投資のほうが加熱しているようにもみえます。
高山氏の見解は明快です。
「不動産投資は毎日の値動きを気にする必要はありません。投資にかける時間や専門知識も、株やFXに比べれば楽です」
FXや株式投資をしている人は、1日に何度もスマホなどで値動きをチェックしています。それを怠ると損失が出たり、儲け損なったりするからです。
しかし当然ですが、現役の自衛官が訓練中に、スマホを取り出して株価や為替をチェックすることなど許されません。
不動産投資でも、買い時や売り時のタイミングは重要ですが、FXや株式投資ほど、目まぐるしく動くことはありません。
「どっしりと構える」タイプの不動産投資は、自衛官に向いています。
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンです。FXや株式ほど、ハイリスクハイリターンではなく、預貯金ほどローリスクローリターンでもありません。
不動産投資はさまざまな観点から、堅実な国家公務員に向いている投資手法といえるでしょう。