奨学金制度の落とし穴…返せないとどうなる?
皆様、7月も終わろうとしています。
お子様たちは夏休みに入って、それぞれご満喫のことと思いますが、またぞろ新型コロナの陽性者数が20万人を超えたといった話も出ていて、行楽についても考えないといった意見も出てくるなど、窮屈なお話が出てくる予感もします。
ワクチン接種済みの方も罹っているので、税金を使ってワクチンやPCR検査をすることは無駄なことに思われるのですが皆様いかがお考えでしょうか。
前回は、日本学生支援機構による奨学金の内、無利子の第一種奨学金の返還制度について見てきました。
今回は利子のつく第二種奨学金の返還制度をまず見ていきます。その後で最近問題視されている返還困難な場合の救済措置について整理していきます。
返還は、第一種奨学金と同じく、貸与終了の翌月から7か月目に始まります。
返還は口座振替によるものとされており、月賦返還の場合は毎月27日に引き落とされることになります。
(1)返還方式
返還方式は、借りた金額に応じて毎月の返還金額が決まる「定額返還方式」のみです。すなわち所得連動返還方式は選択できません。
割賦方法も第一種奨学金と同じく月賦返還または月賦・半年賦併用返還がありますが、貸与開始時の返還誓約書で申し出た方法となります。
返還回数、期間の算出も第一種奨学金と同じで、貸与された総額を奨学金返還年数算出票の割賦金の金額で割って得た「返還年数」の12倍の回数で返還します。
(2)利子について
第二種奨学金は利子が付くところが第一種奨学金と異なる点です。
奨学金の貸与を受けた方は借りた金額と利子の合計金額を返還することになります。
なお、在学中は無利子です。
この利子は、貸与機関終了の翌月1日から発生するとともに、初回の返還期日までの期間には据置期間利息が発生します。
ア 据置期間利息
(ア)月賦返還で貸与期間終了の翌月1日から初回返還期日の前月27日までの利子
例
貸与期間終了2022年3月
初回返還期日10月27日の場合
据置期間 2022年4月1日~2022年7月27日
(イ)半年賦返還の場合
貸与期間終了の翌月1日から初回返還期日の6か月前の月の27日までの利子
例
貸与期間終了 2022年3月
半年賦初回返還期日 2023年1月27日の場合
据置期間 2022年4月1日~2022年7月27日
イ 利 率
利率は、奨学金申込時に選択した利率の算定方法に基づいて算定されます。(変更の届出も可能です。)利率の算定方式には、「利率固定方式」と「利率見直し方式」の2つがあります。どちらの場合でも基本月額に係る利率は、年3%が上限です。
(ア)利率固定方式
貸与終了時点に決定した利率が返還完了まで適用される。
(イ)利率見直し方式
貸与終了時点に決定した利率を返還期間中概ね5年ごとに見直し。
近年の低金利のためか、最新の情報を見てみると22年6月に貸与終了終了した平成19年4月以降の採用者の基本月額に対する利率は、
利率固定方式で0.537%
利率見直し方式 0.04%
となっています。ただ、全体的に上昇傾向にあるようです。
経済的困難や失業、傷病、災害等長期にわたる返還期間の中で、返還ができなくなる事情が発生する場合もあり得ます。
この奨学金返済の問題は、滞納すると信用に傷が簡単につくといった恐ろしさが問題視され、救済措置についても整理されてきました。
救済措置には
の2つがあります。
(1)減額返還
これは返還困難な場合でも、返還月額を1/2、1/3に減額して、適用期間に応じた分の返還期間を延長して返還する制度です。適用期間は最長15年(180ヶ月)となります。
これにより、6か月または4か月分の返還月額を12か月で返還する形で返 還額の減額ができます。希望する減額月の3か月前位から審査書類を提出し、審査結果によって減額が認められます。
認定の基準は概ね以下のとおりとされています。
今回は以上となります。次回は、それでも返済できない場合にどうなるかという点を整理していきます。