奨学金制度の落とし穴…返せないとどうなる?
豊かな老後を過ごすために、お金は欠かせません。ただ現代日本は、固定費・税金額の増加や、物価の高騰、給与減額に伴い、本業だけではなかなか老後に必要なお金を準備できない人がほとんどです。そのため多くの人が生涯生活設計に取り組み始めています。
職業柄、「安定」と思われている自衛官も決して他人ごとではありません。むしろ自衛官“だからこそ”、生涯生活設計を始めるべきなのです。今回は自衛官も生涯生活設計を始めなければいけない理由について解説します。
「リストラほぼゼロ」「安定した収入」の2つが当てはまる自衛官。一見すると生涯生活設計を取り組む必要などないように思えます。ただ着目するポイントはそこではありません。自衛官は他の職種とは異なる面が多いことから、一般のサラリーマンと同じようなポイントに着目するべきではないのです。
以下は、自衛官が生涯生活設計を始めるべき理由になります。まずは理由を知ってその必要性を感じましょう。
自衛官は一般のサラリーマンと異なり、定年退職の時期が早いことで有名です。また退職時期は、以下の様に階級ごとに分かれています。[注1]
階級 | 定年年齢 |
統合幕僚会議議長 | 62歳 |
陸将・海将・空将 陸将補、海将補、空将補 |
60歳 |
1等陸佐・1等海佐・1等空佐 | 56歳 (令和3年1月から57歳) |
2等陸佐・2等海佐・2等空佐 3等陸佐・3等海佐・3等空佐 |
55歳 (令和3年1月から56歳) |
1等陸尉・1等海尉・1等空尉 2等陸尉・2等海尉・2等空尉 3等陸尉・3等海尉・3等空尉 準陸尉・準海尉・準空尉 陸曹長・海曹長・空曹長 1等陸曹・1等海曹・1等空曹 |
54歳 (令和2年1月から55歳) |
2等陸曹、2等海曹、2等空曹、 3等陸曹、3等海曹、3等空曹 |
53歳 (令和4年1月から54歳) |
この表のように、現状最も早い自衛官の場合、53歳で定年退職することになります。年金が支給される65歳までは12年間もあります。その12年間、仕事をせずに暮らしていくほどの貯蓄があれば問題ありませんが、多くの自衛官が備えているわけではないでしょう。所帯持ちの自衛官であればなおさらです。
つまり、自衛官は退官した後も再就職をして生活費を稼ぐ必要があります。
一般的に40代からの転職や再就職は難しいと考えられています。自衛官も例外ではありません。むしろ自衛官は退官後の年齢が50代であり、一般企業への再就職は相当難しいでしょう。また、自衛官の仕事は一般企業の仕事と比べて大変特殊であるため、事務職やデスクワークの仕事のような、即戦力が求められる高給与の仕事に就職するのも難しいかもしれません。もし再就職を望む場合は、職種を絞ったうえで早めに準備した方が良いでしょう。
自衛官も、一般のサラリーマンと同様に退職金がもらえます。その相場は、「曹長」クラスで2,000万円前後、佐官クラスで3,000万円前後です。また他にも「若年定年退職者給付金」というものが支給されます。退官後2回に渡って支給されるお金のことであり、各時期と金額は以下の通りです。
時期 | 支給相場 | |
1回目 | 10月~3月までの退職者 =次の4月支給 4月~9月までの退職者 =次の10月支給 |
400~500万前後 |
2回目 | 退職後翌々年の8月 | 800~1000万円前後 |
ただ、これらと今までの貯蓄額を合わせても、年金を支給される年齢まで生活できるほどの余裕はないと考えられます。
以上の理由より、自衛官は早めに生涯生活設計を始めた方が良いのです。
生涯生活設計に取り組む際、気をつけるべきなのは「自身の収入に見合った目標を立てること」です。あまりにも自身のスケールに見合わない目標を立てると、資産運用どころか貯蓄すらできなくなる可能性があるためです。30代から生涯生活設計に取り組めば年金受給の年齢まで約30年あると考えられるので、長期的に運用できるプランを考え、少しずつ老後の資金を貯めていくようにした方が良いでしょう。
また、資産運用の方法にもこだわることをおすすめします。自衛官は一般のサラリーマンと勤務形態が異なり、緊急任務を課せられることもあります。そのような時でも自然と運用できるような方法を選ぶと良いでしょう。
生涯生活設計は人生100年と言われているこのご時世、必要不可欠なものです。また自身で計画を立てることで、今後のお金の使い道も修正することが可能になります。退官後の人生を豊かにするためにも、今すぐ生涯生活設計に取り組んでみましょう!
[注1]防衛相公式ホームページ
https://www.mod.go.jp/index.html
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2002/zuhyo/frame/az145004.htm