自衛官も多数が利用!奨学金制度を徹底解説【後編】
皆様、蝉の鳴く8月になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。最近は台風が近づくと天気予報での雨量予測が役に立たないぐらいに局地的な集中豪雨が起きることが多くなりました。記録的短時間大雨情報が出ているような状況では、普段は別に危険を感じないような場所でも、計算を超えた雨量によって冠水し、溺れてしまうといったことが起きたりするようです。皆様も夏の行楽ではご注意ください。
日本学生支援機構による奨学金のお話を続けてきましたが、今回は最後として、返済不能となった場合に起きることをみていきましょう。
奨学金のほとんどは給付型ではなく貸与型となるために、本質的にはローンを組んだ状況と同じと考えなければなりません。
奨学金を頂いて卒業し、以後就職等により収入を得ても十分な収入ではなく延滞につながる場合もあるようです。
日本学生支援機構によれば、2015年度末の時点で奨学金延滞額は、約880億円にものぼっています。
各大学ごとに奨学金の申請が行われるために、データとしては学校ごとの延滞率の比較が公表されていますが、大学の奨学金延滞率は平均1.3%だそうです。
国公立大学は総じて延滞率が低く、そして地方の私立大学に延滞率が高いのが特徴となっています。
延滞が生じると以下の措置が取られます。
(1)滞納金の発生
ア 第1種奨学金(無利子の場合)
延滞している割賦金の額に対して、返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて、年10%~3%の割合を乗じて計算した額の合計額が賦課されます。
イ 第2種奨学金(利息付)
延滞している割賦金(利息を除く)の額に対して、返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて、年10%~3%の割合を乗じて計算した額の合計額が賦課されます。
(2)督促
日本学生支援機構または委託された債権回収会社等から、返還の督促が行われます。
〇文書と電話
本人または預貯金者あてに「振替不能通知」が送付され、電話でも連絡が来ます。
〇自宅への訪問
自宅へ訪問し、督促や返還期限猶予制度等の案内が行われますが、直接の現金徴収はありません。
返還開始から6か月経過後に延滞が3か月以上になると、個人信用情報機関(全国銀行個人使用情報センター)に個人情報を登録する対象となります。
そして、個人情報として氏名・住所・生年月日・電話番号・勤務先、貸与額、最終返還期 日や、「延滞」・「強制回収手続」・「完了」等の情報が登録されます。
一度登録されると登録された情報は、返還完了から5年後に削除されます。
個人信用情報機関に延滞情報が登録されると住宅ローンが組めなくなったり、クレジットカードの利用が制限されることがあります。
延滞が続く場合、督促が行われ、それでも請求に応じられない場合には、機関保証であれば、連帯保証先である保証機関が代位弁済を行い、保証機関が返還者に一括請求を行います。
返還者は保証機関にこの代位弁済額を返済しなければなりません。
これに応じない場合は、保証機関による財産、給与等の差し押さえの法的措置が行われます。
人的保証の場合は、本人に加えて連帯保証人、保証人にも請求が行われ、それ でも支払いが行われない場合は、支払い督促申し立てが裁判所に対して行われ、最終的には強制執行が実施されます。
今回は以上となります。
奨学金は日本学生支援機構が行うものとはいえ、あくまで金融ローンと同じ性質であることを忘れないようにして頂ければと思う次第です。