老後の生活を豊かにするためには、2000万円以上必要であると言われています。ただ時節柄、本業のみで2000万円以上貯蓄することはかなり難しいはず。そこで取り組むべきなのが生涯生活設計です。またこの取り組みは早い年代から始めていくべきであると考えられています。今回は早い段階から生涯生活設計を始める重要性について触れていきます。
上述したように、生涯生活設計は取り組み始める年代によって準備できる資金が大きく異なります。仮に、30歳と50歳の平均月収[注1]の10%を老後の資産として毎月貯蓄できるとしましょう。もし年金受給の年齢65歳までそれを続けたばあい、準備できる資産額は以下の様に大きく異なるのです。
30代 | 50代 | |
平均月収 | 32万円 | 42万円 |
月の貯蓄額 | 3.2万円 | 4.2万円 |
年間貯蓄額 | 38.4万円 | 50.4万円 |
65歳までの年数 | 35年 | 15年 |
65歳までに準備可能な貯蓄額 | 1344万円 | 756万円 |
この表はあくまで平均月収から導き出した自己資産額であるため、一概にすべてこの通りになるとは言い切れません。まして、30代は結婚や出産といったライフイベントに富んだ年代であるため、なかなか貯蓄できないこともあるはず。ただ明らかなのは年金が支給されるまでの期間に大きな差があるという点です。この点においては覆すことができない事実であるため、いくら貯蓄額が低くても20年の差によって準備できる資産額にも差が出てしまうのです。
だからといって50代からの生涯生活設計に取り組み始めることに意味がないわけではありません。50代でも最大で15年ほど準備期間があるわけですし、家庭を持っていたとしてもライフイベントがほぼ終了している場合も考えられます。それは老後のための資産に回せるお金が増えるということなので、諦める必要性はどこにもないのです。たとえ数年でも取り組み始めた方が良いでしょう。
ただやはり、若いうちに生涯生活設計に取り組み始めておいた方が良いことに変わりはありません。
上述したように、30代から生涯生活設計に取り組むと、長期間の資産運用が可能になるため、それだけ準備資金も蓄えられます。また他にもメリットがあり、それらも大変魅力的です。
50代から生涯生活設計に取り組み資産運用を始めるとなると、安定した運用方法を選ばざるを得ません。なぜならリスクが高い運用を選択して失敗した時、リカバリーが効かないためです。一方、30代から運用を始めた場合、年金受給開始まで30年以上あるわけですから、リスクの高い投資に失敗してもリカバリーに時間をかけられます。もし成功すれば、より多くの資産を形成できるため、時間はあるに越したことはないのです。
上述したように、30代は様々なイベントが発生しやすく、老後以外にもまとまった資金が必要になる場合も多いでしょう。そんな時のために生涯生活設計に取り組み資産運用で利益を出しておけば、月々の給与から捻出する必要がありません。
どの年代においても当てはまることですが、生涯生活設計に取り組む際は、以下のポイントを念頭に置きながら実施しましょう。人によっては、生涯生活設計の取り組み方次第で人生を苦しいものにしてしまうリスクがあるためです。
前提として、生涯生活設計は現実的なものでないといけません。あまりにも非現実的な設計にしたり、収入に見合わない運用を選んでしまったりすると、普段の生活が厳しくなり、せっかくの設計も台無しになってしまうでしょう。また予定外の出費に対応できなくなるリスクも生まれるため、必ず収入に見合った設計にしてください。
運用するにあたり大事なのは、各期間における目標となる自己資産額を決めることです。人は目標に向かって自身が前進できていると感じられることでモチベーションを保てます。ことお金に関してはなおさらでしょう。また各期間で目標金額に到達できているかどうかを把握することは、今までのお金の使い方に対して振り返る機会を与えてくれます。その機会に今後お金をどう使うかなどを修正できるため、目標は立てておいて損はありません。
個人差があっても構わないので、自分なりに短期・中期・長期的な到達金額を決めておきましょう。
老後2,000万円問題がメディアで取り出たされるようになってから、資産形成や運用への関心は増加してきています。ただそうした老後への資産を増やすには「時間」がカギです。
30代になり、まだ生涯生活設計を始めていない人は今すぐにでも始めましょう!
【注】
[注1]
年代別老後に備える資産運用方法