自衛官に生涯生活設計が強く推奨される理由
自衛官の定年は平均で50歳台。2020年1月から自衛官の定年年齢の引き上げを実施することが防衛省より発表されているとはいっても、一般のサラリーマンよりもまだまだ早いのです。そのため、定年後にも経済面や仕事の面で苦労する人が多いと言われています。そのため退官した自衛官は色々なことに気をつけなければいけません。そこで今回は、自衛官が退官後に気をつけるべきポイントについて解説します。
自衛官が一般企業に再就職するのは、簡単なことではありません。一般的な想像だけでいると、自衛官を定年まで勤めたという実績は、信頼度が抜群にあります。しかし年齢を加味すると、どうしても現役バリバリのサラリーマンと比べて年収が下がってしまうのは覚悟しなければなりません。また就職するにしても、その企業に必要なスキルを持っているわけではないため、採用するにも難しいのです。
そもそも中途採用者と新卒とでは、期待されている度合いも内容も異なります。新卒に関してはある程度長い期間をかけて育てる目標がありますが、中途採用者に求められているのは「即戦力のスキル」です。自衛官で培ったスキルが全く役に立たないわけではありませんが、特殊な任務や一般企業とはかけ離れた仕事が多いため、なかなか自衛官のスキルとマッチした仕事を揃えている企業はないかもしれません。
ただそれでも、退官後の自衛官が全く働けないわけではありません。職種をしっかり吟味して選べば、それなりに自衛官時代のスキルが活用できる可能性があります。また退官後の自衛官が多く再就職している職種を選ぶのも1つの手です。自衛官が再就職先として選ばれやすいのは、コミュニケーションスキルを活かせる「タクシードライバー」や「広報の仕事」、現役時代から培った体力を活かす自衛官は「警備員」「福祉関係の仕事」であると言われています。
一般企業に勤めているサラリーマンと同様に、退官後に再就職を望む場合は退官前からコツコツ転職活動を始めておきましょう。なぜなら年齢が上であるほど、再就職先を見つけるのに時間がかかるからです。どんなに遅くても退官する1年前からは再就職を後押しする企業に登録し、企業の情報だけでも集めておきましょう。
冒頭でも述べたように、自衛官は定年退職が他のサラリーマンよりも早いため、定年退職後も生活の面で苦労することが多いと言われています。人によっては、将官など一部階級に属して60歳~62歳まで勤めることも可能ですが、ほんの一握り。ほとんどの人は54~56歳の間に退官することになるのです。つまり、それ以降から年金受給開始までの65歳までは、定期的な収入がありません。もちろん退職金や「若年定年退職者給付金」は支給されますが、それだけで一般のサラリーマンが定年退職を迎える年齢まで生活することは難しいでしょう。ちなみに、「若年定年退職者給付金」とは、退官後2回に渡って支給されるもので、1回目と2回目の時期と金額は以下の通りです。
時期 | 支給相場 | |
1回目 | 10月~3月までの退職者 =次の4月支給 4月~9月までの退職者 =次の10月支給 |
400~500万前後 |
2回目 | 退職後翌々年の8月 | 800~1000万円前後 |
自衛官の退職金の相場は、およそ「曹長」クラス2,000万円前後、佐官クラス3,000万円前後で、その額と合わせても3500万~4500万円前後となります。10年前後の期間、この金額だけで生活をしようとすると、かなり厳しいことになるでしょう。
どんなことも早く始めるに越したことはありません。特にもうすぐ退官を迎える自衛官は、早めに始めておかないと、退官から再出発まで大きなブランクができてしまいかねません。先述したことも含めて自衛官が始める具体的な生活設計は、以下の通りです。
・年金受給までの勤め先
・老後のための資産運用開始
・退官後のワークライフバランス
中でも早めに始めておくべきなのは「資産運用」です。資産運用とは、自己資金を元手に、手持ちの資産を増やすことを指します。一般的に老後生活を送る場合、最低でも2000万円は必要と言われるようになった時代であるため、ただ働いた分を貯蓄に回すだけでは足りないでしょう。こと資産運用は、長く続ければ続けるほど効果のほどが大きくなると言われているため、20代から始めている人も少なくありません。
ただ、早めに始めた方が良くても、資産運用の方法に関しては慎重に選ぶ必要があります。現代の資産運用は「株式投資」「FX」「不動産投資」「金投資」「ソーシャルレンディング」といったものが主流ですが、他にも数多く存在します。それぞれ特性が異なり、個々人の生活スタイルや働き方、収入の多さによって向き不向きがあるため、「皆がやっているから」と安易に手を出すと借金を背負う可能性もあるのです。
自分の再就職先や働き方を鑑みて、ベストな方法で資産を形成していってください。