自衛官に生涯生活設計が強く推奨される理由
定年退職となる年齢が徐々に引き上げられつつある現代日本。ただ自衛官だけは定年が早く最も早い人は53歳で退官することになるのです。ただ53歳で退官した後、年金が支給される年齢までは12年。その時まで退職金や貯蓄で生活できるかどうかというと難しいでしょう。そこで今回は自衛官が退官後に直面する厳しい生活について、そしてその厳しい生活を回避するためにできることについて触れていきます。
上述したように、自衛官は定年退職の時期が早いことから、人によっては生活が苦しい可能性があります。ではなぜ定年退職の時期が早いだけで生活が苦しくなってしまうのでしょうか。
自衛官も一般のサラリーマンと同様に、退官後は退職金がもらえます。その相場は「曹長」クラスで2,000万円前後、佐官クラスで3,000万円前後と考えられており、一般的なサラリーマンよりは多い傾向にあります。また自衛官には「若年定年退職者給付金」というのがあり、以下の様な時期に一定の金額が支給されるのです。
時期 | 支給相場 | |
1回目 | 10月~3月までの退職者 =次の4月支給 4月~9月までの退職者 =次の10月支給 |
400~500万前後 |
2回目 | 退職後翌々年の8月 | 800~1000万円前後 |
これらに今まで貯めてきた自己資金を加えた状態で年金受給の年齢まで暮らしていくことになります。ただいくら自己資金や貯蓄があるといっても、年金が受給できる年齢までこれだけのお金で生活をしていくのは難しいでしょう。所帯持ちや家族がたくさんいる自衛官であればなおさら。したがって多くの自衛官は、再就職せざるを得なくなるのです。
退職金や「若年定年退職者給付金」、貯蓄だけで生活が厳しい人は、再就職を希望せざるをえません。しかし自衛官はその仕事の内容上、再就職できる職種が限られているのです。
職種が限られてしまうその最たる理由は、スキルの問題が挙げられます。そもそも自衛官の仕事というのは、一般のサラリーマンの仕事と比べて特殊で、かつ1つ1つの仕事に責任を問われるものです。ただあまりにも特殊過ぎるがゆえに、再就職先で培ったスキルを活用できる場がほぼありません。そのため、事務職やIT関係の企業への再就職は厳しく、警備員や深夜の工場現場対応、タクシードライバーといった現場の仕事に絞られてしまうでしょう。
就職できるだけまだマシだと思う人もいるかもしれませんが、必ずしも雇ってもらえるとは言えません。なぜなら、年齢的な問題も加味されるからです。基本的に40歳を超えてからの転職活動や再就職は難しいと言われており、自衛官も例外ではありません。
ましてや退官後は50代ですから、より難しくなるはず。
以上の理由から、自衛官はなかなか再就職できず、生活を維持するだけの資金も稼ぎづらいのです。
上述したような厳しく苦しい生活を回避するためには、1日でも早く行動することが重要です。具体的には以下の2つをメインに行動してみましょう。
退官まで期間が短い人は、必ず再就職支援センターに登録をして1日でも早く就職活動を始めましょう。上述したように、退官後の自衛官はスキルや年齢を理由に再就職しづらい状況にあります。そのため、退官する前に就職活動を始めないと間に合わない可能性が高くなるのです。逆に時間をかければ充分に情報収集ができ、納得できる就職先に迎えてもらえる可能性が高くなります。少なくとも、退官まで1年切る前までには支援センターに登録しておきましょう。
退官までまだ時間がある自衛官は、まず退官後の人生設計をしてみましょう。人生設計をするのとしないのとでは、これから準備する際の質が異なります。最低限、どれくらいの自己資金を退官までに貯めておきたいのかを決めておきましょう。
ある程度の人生設計が済んだら、今度はその目標に資産形成をする準備を始めてみてください。おすすめの投資方法は「不動産投資」です。不動産投資は運用自体を不動産管理会社に任せることができるため、本業に集中しながら資産運営ができますし、家族がいる自衛官であれば、「団体信用生命保険」に加入することで、万が一の場合にもローンを残さずに資産だけを譲渡することができます。