環境問題電気自動車SDGs

電気自動車は本当に環境にいい?環境問題のウソ・ホントとは【後編】

環境問題のウソ・ホントについて考える

みなさん、前回は最近の電気自動車導入が広く進んでいる状況から、なぜ電気自動車がよいとされているのかを考えてみました。

それは一般的に、電気自動車が二酸化炭素を出さないので、地球環境にやさしいと思われているからです。
でも、それって本当かという疑問を考えてみます。

確かにバッテリーで走っている際には、電気自動車から二酸化炭素はほとんど出ません。

でも、よくよく考えると電気自動車、ガソリン自動車が排出する二酸化炭素量というのは、車を作るときから廃車にするときまでを全体的に考える必要があるのです。

電気自動車も大量の二酸化炭素を排出している

フォルクスワーゲン社のHPを見てみると、やはり次のようなフェーズが記載されていました。

1 車の製造時
2 車の走行時
3 車の処分時
です。

この各フェーズの段階で考えると、まず言えることは製造時には電気自動車の方が二酸化炭素の排出量が多いということです。

図1

自動車は製造時に電気を使います。

電気は火力発電で作られることが多いため、間接的に二酸化炭素を排出します。

鉄などの鉱石の採掘から、輸送、精錬、製品への加工まで、製造工程は複雑であり評価が難しいですが、そこに加え電気自動車のバッテリー製造が加わるため、ニッケル採掘等を加えると電気自動車もガソリン車と同等以上の二酸化炭素量が出ると考えられます。

本当は環境に優しくない、電気自動車

例えば、フォルクスワーゲンからは、2019年に開発した電気自動車「ID.3」において、同タイプのディーゼル車と比べ、製造時に約2倍の二酸化炭素を排出するとの報告が出ています。(出典:Volkswagen newsroom)

ディーゼル車が29gCO2/kmに対して、電気自動車は57gCO2/km(数値は20万km走るとした際の換算値)と報告されており、走行時の二酸化炭素排出量と比べても無視できない量が製造時に排出されていることが分かります。

また、製造時の内訳としてはバッテリーが43%を占めており、電池が二酸化炭素を生み出す原因であると報告されています。

図2

また、これにバッテリーに充電する電気が火力発電によってできたものであれば、それも二酸化炭素の排出量に含まれることになります。

また、これにバッテリーに充電する電気が火力発電によってできたものであれば、それも二酸化炭素の排出量に含まれることになります。

走行距離をどれぐらいで統計上考えるかは難しい判断ですが、少なくとも10万キロぐらいで考えるならば、それほど電気自動車が二酸化炭素の排出量でガソリン車よりも優れているとは言えないのが、現在の状況と言えるでしょう。



ほかにも、地球環境に優しいのか?という観点で言えば、電気自動車のバッテリー製造に使われるコバルトは非常に毒性の強い鉱物で、今後開発が進むことにより環境への悪影響も予想されています。



そして、ガソリン車のリサイクル技術は進んでおり、自動車リサイクル法により95%が再生利用されています。
一方で電気自動車のバッテリーはそうした再生利用技術が現状追いついておらず、廃棄されているのが現状です。

電気自動車普及の背景とは?

以上から考えると、電気自動車がガソリン車よりも環境にやさしいといった宣伝や考え方は実は疑わしいということが分かってきます。

それなのに、最近は電気自動車の普及推進が世の中を挙げて進められています。なぜでしょうか。



このことは私たちの生活にとても大きなカラクリとして支配的な影響を及ぼしているのかもしれません。

今回はここまでです。


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