自衛官に生涯生活設計が強く推奨される理由
資産形成に着手するのはもっと後になってから、と考える方は非常に多いです。しかし、自衛官のケースでは定年退職が早めにくることを想定し、先んじて動くことは、実はリスクを減らすことにも繋がります。ここでは資産形成でどんなメリットが得られるのか、どんなリスク対策になるのかを説明していきます。
民間企業に勤める会社員は60~65歳に定年を迎えるケースが多く、人によっては定年退職と同時に公的年金の支給を受けられるようになります。そのためか、20代や30代で資産形成を計画または実行している人は少なく、資産形成に関する意識調査の結果によると資産形成・資産運用に「あまり必要性を感じない」「まったく必要性を感じない」と回答した人は2割以上に及んでいます。[注1]
周囲にいる友人や同級生がのんびり構えているのを見ると、「まだ考えなくてもいいだろう」と楽観視してしまいがちです。しかし、公的年金だけで老後の生活を維持するのは難しいといわれる現在、若いうちから資産形成を計画しておくに越したことはないでしょう。
特に自衛官のほとんどは定年退職の年齢が53~56歳と若いので、早い段階から資産形成をスタートするのがベストです。自衛官は民間企業に勤めるサラリーマンと比べると、資産形成において有利な立場にあるので、今すぐにでも具体的な取り組みを始めることをおすすめします。
自衛官が資産形成を行うメリットには、次の2つが挙げられます。
[注1]QUICK Money World:資産形成の必要性「感じる」増え49% 【個人の資産形成に関する意識調査⑧】
https://moneyworld.jp/news/03_00014046_news
◇低金利融資でレバレッジ効果を狙いやすい
効率よく資産形成するためには、少額の資金でより多くの収益を生み出すレバレッジ効果を狙うのが基本です。たとえば不動産投資の場合、手持ちの資金のみで1,000万円のアパートを購入して年間100万円の家賃収入を得るよりも、銀行から2,000万円の融資を受け、3,000万円のマンションを買って300万円の家賃収入を得るほうが収益は3倍にも増えます。
この場合、ローン金利が低いほど高いレバレッジ効果が期待できますが、銀行は低金利なぶん融資審査が厳しいため、大手企業でもない限り、若いうちに銀行から多額の融資を受けるのは難しいといわれています。
その点、自衛官は国家公務員ですので、社会的信用力が高く、年齢に関係なく銀行からの融資を受けやすいところが強みです。レバレッジ効果をきかせればより多くの収益を得られるようになり、ローンを早めに完済したり、投資を拡大して複利効果を狙ったりすることも可能になるでしょう。
◇定年後すぐに優雅なセカンドライフをスタートできる
前述の通り、自衛官の多くは53~56歳に定年を迎えます。早めに資産形成しておけば、退官後すぐに第2の人生をスタートさせることができ、悠々自適な生活を送れるようになります。
自衛官が資産形成を行わないことには、次のようなリスクがあります。こちらについても知っておきましょう。
◇再就職の悩みを抱えやすい
自衛官は退官後、公的年金の支給を受けるまで約10年の空白期間があるため、定年後は再就職先を見つけて60歳または65歳まで働くケースがほとんどです。しかし、50代になると就職先は限定され、採用率も極端に低くなってしまいます。また、50代を過ぎてから慣れない仕事をスタートするのは簡単なことではなく、心身に大きな負担がかかってしまう恐れもあります。
◇老後資金づくりが難しくなる
いくら自衛官の社会的信用が高くても、退官すれば無職となってしまうため、銀行からの融資が受けにくくなります。また、投資の成果が出るにはそれなりの時間がかかるため、退官後にあわてて資産形成を始めても十分な老後資金を作るのは難しいといえるでしょう。
自衛官が資産形成を始めるにあたり、必ず押さえておきたいポイントが2つあります。
◇不動産投資は一定規模以下に留める
衛官に限らず、公務員は原則として副業が禁止されていますが、一定の条件を満たせば投資による資産形成を行うことが可能です。
たとえば不動産投資の場合、
*5棟10室未満の範囲内で運営すること
*年間の家賃収入が500万円未満であること
*不動産の管理を管理会社に委託すること
などが条件として挙げられます。これらの条件を満たしていないと副業とみなされ、処分の対象になってしまうので注意しましょう。
◇実績豊富でサポート力のある管理会社を選ぶ
自衛官の場合、規定に抵触しないよう、不動産投資のほぼすべてを管理会社に委託することになるため、管理会社の業績やサービスの質はしっかりと見極めたいところです。選び方のポイントとして押さえておきたいのは、過去の管理実績とレスポンスの速さ、そして管理体制の3つです。
実績豊富な業者であれば入居者募集のノウハウにも長けていますし、レスポンスが早い業者であればクレームや苦情にすばやく対応し、入居舎の満足度を高めることができるでしょう。また、何かあったときにどんな対応をしてくれるのか、詳しい管理体制もチェックしておきたいところです。