新しい国家資格「賃貸不動産経営管理士」とは【後編】
今回は、この賃貸不動産経営管理士という資格について解説していきます。
不動産関係の資格でもっともポピュラーなのは、おそらくご存じの宅地建物取引士(通称:宅建士)です。これは車を運転する際に運転免許証が必要なのと同じように、「宅地または建物の売買・交換または貸借の取引」に対して法に定める事務を行う資格です。
以上の3点は、宅地建物取引業法に定める宅建士の「独占業務」になります。
この宅地建物取引士という資格は、不動産の取引という国家や社会、そして個人にとっても非常に重要でインパクトの大きい不動産取引を、安全確実に法令に基づいて行わせることを目的に制度化されてきました。
ところが、不動産市場においてはまた新たに大きな変化が生じており、これに対応していくことが求められるようになってきています。
その変化を列挙すると
等が挙げられます。
こうした賃貸不動産の管理については、従来まで体系的なガイドラインや一定のルールがなく、様々なトラブルが起きていたのが実情です。
そこで、国は2011年に家主と入居者のトラブルを未然に防止するため、「賃貸住宅管理業者登録制度」を創設し、一定の基準を満たした不動産管理会社のみが同制度に登録できるようにしました。また、民間資格として賃貸不動産の管理・経営について専門的な知識技能・倫理観を持った専門資格としての賃貸不動産経営管理士という資格が整備されてきました。
2020年には「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が制定され、賃貸住宅の管理業務を行う上で「業務管理者」を設置することが義務付けられ、この「業務管理者」としての要件として、2021年6月から「賃貸不動産経営管理士」が国家資格に格上げされることになったのです。
〇賃貸不動産経営管理士の業務
賃貸不動産経営管理士は、次のような業務を行います。
家主さん向けには
入居者さん向けには
つまり、宅建士が重要事項の説明や、契約書関連の賃貸不動産の入居前に係る業務が主体となるのに対し、賃貸不動産経営管理士は、賃貸不動産に入居があった後の業務がメインとなるわけです。
長くなりましたので、次回に続きます。