政治経済生涯生活設計

戦争や世界情勢の混乱は経済に何をもたらすのか

世界情勢の混乱が経済に与える影響とは?

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2月も残りわずかとなり、いよいよ3月にというところで、衝撃的なニュースが飛び込んできましたね。24日の早朝、ロシアがウクライナ共和国に侵攻を開始し、戦争が始まりました。ウクライナの首都を目指してロシア軍は進撃しているようです。私の傍にいた「何でこんな時代に戦争??」と近くの熟年男性もつぶやいていましたが、領土や国家の安全を大義とした戦争は21世紀の今も厳然と存在していて、必要なら戦争するといった国はあるということです。

経済的な結びつきが深まると世界は平和になる、戦争を行おうという不届きな国には経済制裁を行うというのが戦争を防ぐ国際社会の対応だったわけですが、今回も戦争を防ぐことはできませんでした。新型コロナやリーマンショックも非常に大きな経済に大きな影響を与えましたが、他国の戦争も経済に影響を与えることがあります。

今回は、直近の生涯生活設計とは少し離れた視点から、最近の戦争や大きな出来事が経済に及ぼした影響について、考えてみたいと思います。

第1次オイルショック(1973年)

こうしたことで一番に思い出されるのは、1973年の第4次中東戦争で起きた第1次オイルショックです。中東でイスラエルとアラブ諸国が戦った戦争ですが、この時は産油国が原油価格を約3ドルから約11ドルに値上げしたことから、わが国でも1974年に消費者物価指数が23%も上昇し、「狂乱物価」と呼ばれました。また、原油価格とは実際に関係はなかったのですが、トイレットペーパーや洗剤がなくなるという噂が流れ、買占めやパニックが起きました。これにより、物価上昇を抑えようと金利が引き上げられたため、戦後初めて経済はマイナス成長となりました。

ちなみに理由は違いますが、新型コロナ騒動と同じく、この時もデパートやショッピングセンターの営業時間短縮やエスカレーター、ネオン広告の停止、駅の照明の一部消灯などが行われています。

ミニオイルショック(1990年)

1990年、イラクがクウェートに侵攻し、湾岸戦争が勃発しました。これにより、クウェートからの原油輸入ができなくなり、当然イラクからもできなくなりました。そのため、原油価格が約30ドルから倍の約60ドルとなりました。ただ、これは速やかに戦争が終わり、石油輸出自体は回復していったので大きな影響はありませんでした。

資源バブルとリーマンショック(2004年頃~2008年)

2000年以降、ブラジル、中国、インド等の経済発展で石油の需要が高くなると原油価格が上昇してきました。そこに米国で、住宅バブルを支えてきた、あまり所得の高くない人向けの住宅ローンである「サブプライムローン」が破綻するというサブプライムローン問題が発生すると、リーマンブラザーズという米国の5大投資銀行グループが多大な経済損失のために経営破綻しました。(リーマンショック)

これにより米国及び世界各国の金融市場が大打撃を受けて低迷したことから、投機用資金が原油市場になだれ込み、先物の原油価格が1バレル140ドル台まで上昇しました

新型コロナウイルス感染症(2019年~)とロシア・ウクライナ戦争

2019年12月に中国の武漢市で初めて検出された新型コロナウイルスですが、これはご存じのとおり、その対策としてマスクの着用や消毒が推奨され、人と人の接触頻度や距離を従来より疎なものとするロックダウンや在宅勤務、入場制限等の広範かつ大規模な対策が世界的に取られることになりました。

そのため、従来の工場生産や物流関係のプロセスも重大な影響を受け、一時は史上初の原油価格マイナスを記録するなど経済が混乱しました。また、様々な製品が今日中不足となり物価が上昇しています。

特に深刻なのは半導体で、そもそも需要に対し生産がギリギリだったところに、新型コロナ対策で工場生産が長らく止まったため、全く生産が追いつかなくなってしまいました。加えて新型コロナにより加速した、室内での生活時間の増加によるゲーム機等の新たな需要が半導体不足に拍車をかけています。

そこにこのウクライナ戦争です。ロシアは産油国で、ヨーロッパ諸国はロシアから毎日原油をパイプラインで輸入しています。これが止まってしまうことを見越して、他の地域から原油を買うとなると、原油の価格は上がっていきます。つい先日も原油の先物価格は7年7か月ぶりに100ドルを突破したようです。

不安定な世界情勢…経済はどうなる?

モノは不足、金融緩和でお金は余っている、そうなると・・・将来傾向としてはどうなっていくのか・・・戦争の早期終結を祈るとともに、生涯生活設計の一環として経済的な状況にも気を配っていきたいですね。

 

新型コロナ騒動に加えてのウクライナ戦争。これからは帝国主義の時代なのかもしれません。中国の動きにも警戒が必要です。台湾だけでなく、尖閣諸島を抱える我が国もある意味ウクライナと似ている状況におかれています。平和な世の中になることを祈ります。

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