新しい国家資格「賃貸不動産経営管理士」とは【後編】
自衛官という仕事は、業務中や訓練中に事故に遭う危険性が高く、また体を酷使するため疾病・後遺障害などのリスクも高いといえます。そのため、万が一の事態に備え、できれば保障のしっかりとした生命保険に加入しておきたいところです。しかし、いわゆる「一般型の生命保険」だけでなく、近年自衛官の間で注目を集めている「不動産投資」も、生命保険としての役割を果たすことができます。
ここでは、不動産投資と一般型の生命保険を比較しつつ、不動産投資の生命保険としての有効性について詳しく解説しましょう。
自衛隊に入隊した場合、加入できる生命保険には大きく分けて2種類あります。防衛省団体生命保険と、民間の生命保険です。
◇防衛省の団体生命保険は隊員本人と家族だけが加入できる掛け捨て型保険
自衛官が加入できる最もメジャーな生命保険が、防衛省の団体生命保険です。自衛官とその家族を加入対象とし、自己や病気で自衛官に万が一のことがあった場合、残される家族に保険金が支払われます。
具体的な保険金の額は、自衛官本人型の場合だと、病気の場合は最高で3,210万円、ケガの場合は最高で4,210万円です。6口~50口までの任意の口数で加入できます。
◇民間の生命保険への加入は難しいケースが多い
自衛官であっても、民間の生命保険に加入することは可能です。ただし民間の商品だと、危険な職業に就いている場合、生命保険への加入が制限されることが多くあります。たとえば、一般的な保険料よりも上乗せして支払うこと、また危険な業務中の事故を保障内容から外すことなどが条件となる場合があります。
一方、自衛官にとっては、不動産投資も生命保険と同等の効果を持っています。投資が保険の効果を持つとはどういうことなのか、以下で詳しく説明しましょう。
◇団体信用生命保険(団信)は保険金によってローン残債をゼロにできる保険
通常、不動産投資を始める場合、金融機関から融資を受けてローンを組みます。そしてその際に、「団体信用生命保険」に加入するのが一般的です。団体信用生命保険とは、もし不動産のオーナーが死亡した場合、もしくは高度障害になって働けなくなった場合、ローンの残高を団体信用生命保険で補てんするという制度です。
この保険に加入することにより、もし投資を行った自衛官本人に万が一のことがあっても、その家族はローンを一切負わずに不動産を引き続き所有できます。家賃収入など不動産から得られる収入を、家族はずっと受け取り続けることができるわけです。
団信は、マイホーム購入の際に加入することも多いですが、投資用不動産を購入するためにローンを組む際も加入できます。金融機関側が、団信への加入を条件としてローンを組むことを認める場合も多くあります。
不動産投資に伴って加入する団体信用生命保険は、残される家族に直接保険金が支払われるわけではありません。その点で、一般型の生命保険とは大きく違います。しかし、自衛官本人に万が一のことがあっても、家族の生活を保障できるという点においては、生命保険と果たしている役割はまったく同じです。
万が一のときに備えるという点では、残される家族に直接保険金が支払われる一般型の生命保険の方がより効果的なのでは、とイメージする人も多いでしょう。しかし、不動産投資(団信)の生命保険としての有効性は高く、家族に大きな財産を遺すことができます。
◇一般型の生命保険は事前に決められた金額のみ支払われる
一般型の生命保険では、防衛省の団体生命保険の概要で述べたとおり、負担する口数と支払われる保険金の関係性があらかじめ定められており、それ以上の金額が支払われることはありません。もし保険金を遺族が使い切れば、生活の保障はそこで打ち切りになるわけです。家族の生活を将来にわたって保障したいと考えるなら、一般型の生命保険だけでは不安が残るかもしれません。
◇不動産投資であれば将来にわたって安定した収入を得続けられる
不動産投資の際に加入する団信であれば、本人に万が一のことがあれば不動産から得られる収入は今後ずっと家族に支払われます。運用期間中である限り、毎月アパート・マンションからの家賃収入を得られるわけです。長い目で見れば、家族にとって強力な財政基盤となるでしょう。
しかも、不動産投資は一般型の生命保険よりも資産価値が高くなるケースが多いです。不動産投資の方が、より多くの資産を家族に遺すこともできます。
もし、不動産投資の運用が難しくなってきたら、所有する不動産を売り払うことで、まとまったお金を家族が受け取ることもできます。残される家族が、ライフステージや生活環境の変化によって運用方法を変えられるのも、不動産投資の大きな強みです。