国税自動車税

走行距離課税の導入は現実的?その課題と影響【後編】

走行距離課税について考える

みなさん、11月8日の皆既月食・天王星食はご覧になられましたか。

天気も良かった上に月の高度も十分高かったので、美しい天体ショーを観察された方も多かったのではないでしょうか。
今回の皆既月食中の天王星食(天王星が月に隠れた)のは、なんと442年ぶりだったそうです。
前回は1580年7月といいますから、時は戦国時代、織田信長が活躍していたころです。非常に珍しいものを幸運にも観ることができました。

今回は、前回お話しした電気自動車の普及に伴う自動車税・ガソリン税の税収減少に備えた走行距離課税のメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。

走行距離課税のメリットとは

メリットと言えば、まず、車の走行距離が短い、またはあまり乗らない方は確実に税金が安くなります。
この傾向は都市部に生活し、職場が近い、あるいは通勤や生活に電車やバスが便利に使え、車に乗るのは週末だけという方であれば顕著に納税額の減少となって表れてくるでしょう。

次に排気量が大きい車については、税額が安くなる可能性があるということです。
排気量が大きい車には現在ですと6000cc超の車で11万円もの自動車税がかかっています。
しかし走行距離課税になれば、排気量は関係なくなるので、排気量が大きい車も走行距離によっては納税額が下がるかもしれません。

走行距離課税のデメリットとは

反対にデメリットを考えてみます。



デメリットその1:地方居住者の負担が増える

電車やバスがない地方では、車は生活必需品といってよいでしょう。
通勤、買い物での車の利用が必須の地方では、おそらく走行距離税は都会や都市部にすむ方に比べ税負担が重くなります。

デメリットその2:交通・運送業界の税負担が重くなる

交通業界・運送業界では、運用する車両の走行距離が長いのはもちろんのことでしょう。
したがって、その税負担も重くのしかかります。
するとその分、運送コストも上昇することになります。



デメリットその3:徴収コストの問題

走行距離を数千万台に及ぶ車それぞれに計測するシステムが必要になります。
GPSと車載器による測定システムの導入には多額の費用がかかる事は間違いありません。

電気自動車の台頭の背景には何があるのか

皆様は電気自動車の導入推進とそれに伴う走行距離課税につき、どのようにお考えになられるでしょうか。

電気自動車の導入は、今や環境への配慮意識の高まりとも相まって、太陽光発電と同様に大合唱になりつつあるといえるでしょう。
しかし電気自動車への時代の流れは日本経済と私たちの生活にとって大変な問題をはらんでいる一面もあります。
それは電気自動車のバッテリーはもはやその大半が中国、韓国メーカーによって席巻されているからです。
世界の電気自動車向け車載電池市場のメーカー別シェアを見てみると、2022年1~6月のシェアでは中国メーカー6社のシェア合計はなんと56%です。
また韓国は26%。
すなわち8割は中韓のメーカーで占められているのです。

自動車産業は日本の基幹産業です。
自動車関連産業に携わる人口は552万人に及び全製造業の製造品出荷額の18.6%を占めています。
また、機械工業全体では40.9%にも及びます。
しかし、電気自動車の導入、さらにはガソリン車の禁止へと世の中が傾けば、これらの中でもガソリンエンジンに関わる人たちは職を失うことになるでしょう。
そして、日本のメーカーの車載電池はすべて中韓のものですから、もはや自動車産業は我が国の基幹産業としての地位を失うことになります。

日本企業は危機的状況?

自動車メーカーのトヨタは現在、企業の時価総額で日本企業のNo.1です。

それでも世界の第29位です。
約30年前の1989年、時価総額の世界ランキング10位以内に日本企業は何社あったでしょう。
正解は6社です!
一体何が我が国に起きたのでしょうか。
そして、今、何が起きようとしているのでしょうか。
よく考える必要があります。

今回はここまでです。

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